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ビジネス・経済
三菱東京UFJが独自の仮想通貨を発行!仮想通貨って危なくないの?
 2016年2月1日、三菱東京UFJ銀行が独自の仮想通貨「MUFJコイン」を発行するという見出しが新聞やネットニュース上に踊り、投資家を筆頭に多くの人を驚かせた。日本では、例のビットコイン騒動のせいで印象の悪い仮想通貨だが、大手銀行が発行することにより私たちの生活にどのような変化が起こるのだろうか。

◆仮想通貨と,電子マネー。似ているようでまるで違う二つのお金

 ここ数年ですっかり身の回りに普及してきた、Suicaやnanacoなどの電子マネー。これらと仮想通貨は、言葉から受け取るイメージとは裏腹にまるで違ったものである。

 一番の大きな違いは、発行者の有無。電子マネーは、ご存知の通り、その地域で国が発行している通貨を使う。電子マネーはあくまで「円」や「ドル」での取引を、オンラインで代わりに行います、というツールである。

対して仮想通貨には、発行している国が無い。その名前の通り、オンラインでの取引をスムーズにするために、個人や企業が作ったオンライン上にのみ存在する通貨なのだ。取引はそれぞれ独自単位で行われる。ビットコインなら、1ビットコインいくら、リップルなら、1Rippleいくらといった具合に円やドルと変動相場制で取引されているのだ。

 発行者がいないということは、法の庇護は受けられないということでもある。電子マネーの場合は、紛失や盗難に遭った場合は、法の庇護を受けることができるが、仮想通貨は原則、何か起きても全て自己責任となってしまうことは頭に入れておこう。

◆それでも人々が仮想通貨を使う理由

 世界で最も流通している仮想通貨、ビットコインを発行しているのはプログラムである。このプログラムは2140年までビットコインの流通状況に応じて、誰が管理する訳でもなく、2100万ビットコインを上限に発行し続けることが公表されている。この話だけ聞くと、多くの人が頭上に疑問符を浮かべることだろう。価値の保証がない、ただのプログラムが発行したものが、何故、通貨として存在しえるのだろうか?

 その答えもまた、発行者がいないからなのだ。国による後ろ盾が無いということは、裏を返せば、仲介する業者(中央銀行やカード会社)が存在せず、個人と個人が直接取引できるということになる。国境をまたいだ買い物や、海外送金の際に発生する手数料が必要ないということになるのだ。

 おまけにスマホやパソコンにアプリを入れれば、その場で売買や送金ができるのだから、国際的な取引を行う企業や、緊急のやりとりが必要な方にとってこれほどありがたいことはない。

 また、仮想通貨の取引記録計算というのは、Web上で繋がった複数台のパソコンで行われている。ビットコインの場合は、それぞれのパソコンは自分のパソコンが誰の、何を記録しているのかは判断できない。Web上のプログラムのみが全貌を把握しており、帳簿計算を協力してくれた人には、報酬として、ビットコインを発行することになっている。このシステムならば、帳簿に矛盾が起きても、他の数万台のパソコンを使って検証を行うので、一括で管理を行うよりも確実な記録を残すことができるし、またプログラムは莫大な計算を基にその年のビットコインの発行量を調整することもできる。

 いつのまにか実際の通貨との交換所もでき、投機対象にまでなっている仮想通貨は、世界的な需要と取引の安全・確実性を武器に価値を確立したのだ。電子マネーを支えるのが“国への信頼”ならば、仮想通貨を支えるのは、“利便性への信頼”といえるだろう。

◆MUFJコインが生まれて変わること

 さて、ここで冒頭の話に戻る。今回の三菱東京UFJ銀行発行の仮想通貨は、行内の取引での実験段階。三菱東京UFJ銀行クラスのメガバンクになると、やはり海外とのやりとりで発生する手数料や、それらを管理する中央コンピュータの維持管理費だけでも大変な額になる。経費削減のために、仮想通貨のシステムを取り入れてみようというのが今回の報道というわけだ。

 なのでおそらく、我々の生活に仮想通貨が密着してくるということは当面ないだろう。

 だが、三菱東京UFJ銀行はこのMUFJコインをゆくゆくは、一般にも解放していくと言っている。現に、昨年から仮想通貨やその取引所に続々と出資をしており、これから積極的に仮想通貨取引にも踏みこもうとしているのは間違いないだろう。なにより、仮想通貨を買い物で使える店は着実に増えている。そこに銀行からの支払いも可能となれば、私たちの生活がより便利になることは想像に難くない。

 国の気分一つで無限に発行できる現実の通貨は、見ようによっては常にインフレを引き起こす危険をはらんでいるとも言える。仮想通貨は、そうした国家の枠組みをとっぱらおうという時代が生み出した、新しいお金の形なのかもしれない。

※記事内容は2016年7月現在の情報を基に作成。

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