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ビジネス・経済
デジタル時代の“終活”を考える(1) メールアドレス・SNSアカウント編
 人生の終わりに向け納得のいく準備をすること、それが終活。ネット隆盛の今、持ち主の死後にSNSやメールアドレス、課金サービスなどはどうなるのか。そして、どんな対策を施せるか。気になる要素を検証・考察していく。

◆自分らしさを彩るために“終活”を行う

 終活の適齢期は60歳代といわれているが、子どもがいる人ならば30代、40代から初めても早すぎることはない。大切なのは、残された家族に迷惑をかけないこと。そしてなにより、自分らしい“最期”を飾ることだ。

 終活を始めるにあたり、まず思い当たるのがお墓や葬式の問題。財産があれば相続についても考えなければならないし、身のまわりの整理も必要になってくる。こうした事柄は、いざとなれば専門家や家族でも代行が可能だ。あらかじめエンディングノートにまとめておけば、たとえやり残したことがあったとしても、残された人々にかかる負担は軽くなる。

 ところが、インターネット上の活動やサービス利用にまつわるお金の流れや人間関係については、家族にはどうすることもできないケースが多々ある。

 サービスプロバイダ、有料メールアドレス、スマートフォンなどの携帯端末、レンタル機器、クラウドなどの月額課金サービスにかかる費用は、たいていの場合は銀行から引き落とされるが、カード会社から届く明細を見ても、すべての案件の解約方法にたどり着くのは至難の業だ。

 人間関係にしても、どういうサービスでどんな名前(ハンドルネーム)で活動していたのかがわからなければ、アカウント主の死を知らせることもできない。いや、どんなキャラクターを演じていたかがわからなくては、知らせていいのかどうかすら判断がつかないだろう。

◆家族に負担を残さないよう、ネット上のお金の流れを明確にしておく

 かつて筆者には、ネットの月額課金額が積もり積もって2万円を超えていた時期があった。「使っていないサービスは解約しなさい」と税理士にしかられ、初めてそんなにたくさんのサービスを利用していたのか……と、あわてた次第である。

 ところが、いざ解約に着手するも、数時間で挫折した。解約ページにたどり着けないのだ。あるいは、サービス元に電話をかけてもいっこうにつながらないケースがあったり、なかにはパスワード忘れや書類をなくしてしまったものもあり、使っていないサービスを全部解約し終えるまでに3カ月の時を要した。いや、ちょっと嘘をついた……いまだ解約できていないサービスもある。

 自分でやっても苦労する作業を、家族に代行させるのは非常に心苦しいもの。こうしたカード会社経由の課金に関しては、登録確認書などの書類を一カ所にまとめた上で、サービス詳細(URLなど)や解約に必要なID・パスワードをノートにわかりやすくまとめておこう。

 ネットの口座や金融資産がある場合も、上記のノートにまとめておくべきだろう。生前に知られたくない場合は、デジタル遺書などで管理する方法も。その場合、自分の死後、どこを参照するべきかを家族に伝えておく必要がある。

 SNSでつながっている友人に自分の死を知らせてほしい場合は、ログインしてもいいアカウントのIDとパスワードを明記しておく。家族に見られて困るアカウントは、永遠に封印するべきだろう。アプリの設定によってはIDやパスワードが記憶されてしまうので、終活を考え始めるからには、大切な人に見られて困る言動は慎んで。

◆家族に見られたら死にきれない!? 秘密のファイルは抹消を前提で管理

 一方で、家族に気づいてもらっては困るデータもある。エッチな画像、小っ恥ずかしい創作物、旦那さんや奥さん以外に向けたラブレター……といった、人に見られる前に闇に葬り去るべきファイルを誰でも1つや2つお持ちだろう。自分が恥をかくだけならまだしも、大切な人を傷つけてしまっては、死ぬに死にきれないというもの。

 さて、こうしたデータを抹消するにはどうしたらいいのか。

 芥川賞受賞作「沖で待つ」(絲山秋子著)では、不慮の事故で命を落とした友人宅へ主人公が忍び込み、“どちらかが死んだら秘密を守るべくHDDを壊しにいく”という約束を果たした。発刊当時は「なるほど」と共感した覚えがある。しかし、スマホやクラウドサービスが普及した現在、PC本体や外付けHDDを破壊するだけでは、秘密を消し去ることは不可能だ。

 お金をかけずに行う場合は、やはり友人頼みとなるだろう。問題のファイルはできるだけ同じフォルダやメディアにまとめておき、消去すべきデータのありかを友人宛の手紙に残すなどして、自分の死後も有効な手はずを整える。クラウドサービスやWebメール、SNSなどのアカウントを消してもらう場合は、自分の死後、IDやパスワードがその友人にわたるようあらかじめ手配しておきたい。

 ツールを利用する手もある。

■死後の世界(Windows)
最終起動から○日と指定しておけば、登録したフォルダやファイルが自動的に削除される。

■僕が死んだら…(Windows)
不測の事態が起こった際に、あらかじめ指定しておいたフォルダやファイルをHDD上から削除するツール。誰かがクリックすることで、完全消去される仕組み。

いずれも古い定番ソフトなので、いつまで使えるかは不明だ。

 また、Googleの「アカウント無効化管理ツール」もチェック必須だろう。GmailやGoogleドライブなどのサービスでは、一定期間利用がなかった場合のデータの取り扱い方を自分流に設定することができる。

 確実なのは、専門家に頼ること。行政書士や弁護士とあらかじめ死後事務委任契約を交わしておけば、守秘義務のもと、しかるべき処理を行ってもらえる。ただし、請け負ってくれる事務所とそうでないところがあるので、事前のチェックが不可欠だ。

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